(Video/11min/1994)

●ビデオテープを何回もダビングコピーしていくとともに、画像はノイズに埋もれていく。
このノイズ成分は本来ビデオ作品制作の大敵といえる存在であるが、この作品ではそれを逆手にとって、徹底的にノイズを増加させてみた。
すると今まで見ていた映像の表面に全く別の美しさが現れてきた。

●通常、コピーを繰り返すとビデオ制御信号も劣化してしまい、画像自体が表示されなくなってしまう。この作品では画調はアナログビデオのレインボーノイズを発生させながらも、制御信号はデジタルTBC（Time Base Corrector ）によって画像自体を維持している。
また、無音素材をコピー毎に増幅する事で生じるハムノイズ音を音声としてそのまま使用している。

●電子の回廊（CORRIDOR）をビデオ信号がくぐり抜けるたび失われ、付加される何か。
それはビデオシステムの電子回路自身が望んだ美なのではないだろうか。