Mechanical Kitchen
(Video/10min/1993)

●映画発明以前より存在するフェナキスティコープ（驚き盤）、ゾートロープといった映像玩具。これらは見かけ上の動き（仮現運動）を生じさせることによる、現実感の生成装置であるということができる。

ここではビデオをこれらの装置の末裔と捉えてより強力な現実感の生成装置として扱ってみた。

●現実のレプリカであるビデオはまた、現実空間にない特性をその中に有している。
静止・スローといった時間的な特殊性、画面合成などの空間的な特殊性。
これらによって生まれる変形された現実はビデオ空間の中では何ら特殊ではない。
これと対比することで、我々の住む現実空間は相対化され、現実空間自身の持つ特殊性を露わにするのではないだろうか。

●舞台空間を起源とする横長の画面ではなく、装置としての側面を強調した「縦置きモニター」での再生用として制作したが、通常のスクリーンでの上映用のバージョンも存在する。

　

映像のコスモロジー・川口肇映像個展出品＜2001、神戸＞ 他