TRACK RECORDING ver.2.1
(HDV/12min/2007-2008)

● 新幹線、ジェット旅客機、氷上のフェリー。 乗り物によって私の身体はより遠く、想像を絶する速度で運ばれてゆく。
時間の経過とともに変わっていく、窓の外の風景。眼前には平野が開ける。
ビルが流れる。視界の果てまで雲が広がり、太陽が沈む。頭上には宇宙の闇。
氷に叩かれる船底の音。
自分は何処に居るのか。そして帰るべきところからどれくらい離れたのか。
そんな「移動」についての映像作品。

● 19世紀に出現した、「鉄道旅行」と視覚再現装置「パノラマ」。
身体から解離された「車窓越しの風景」と、現実の模造品としての「映像」。
その相似しつつもねじれた関係。
窓の内側の閉鎖された空間と外側の無限の広がり。
窓枠というフレームに切り取られた世界。
スクリーンのこちら側の身体の存在と、ガラス越しに高速で流れる不可触の現実風景。

● ビデオの持つ質感は肉眼の持つそれに似ている。
家庭用に普及しつつあるHDV（High Definition Video）は高解像度によってビデオの質感を加速し、視覚装置としての「肉眼」への考察を促す。
その一方で、メディア上の風景は視点を変えることでその現実感を失い、その本質である光のリズムに還元されてしまう。

version1
真夏のキノキュッヘ　日本新作プログラム＜2007年、東京＞
ダンス白州2007　映像の森ワークショップ＜2007年、山梨＞

version2
映像のコスモロジーXII　新作展＜2008年、神戸＞
なつきた＜2008年、宮城＞