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wired-glass No.2
(16mmフィルム/9min/2016)

●wired-glass、鉄線入りのガラス窓。視ているのは、窓ガラス?向こうの風景?
東京のアパートに閉ざされ、独り眠る猫は、夢のなかで陽光に眩む。
陽光の中で私は部屋の猫を思う。猫は私でもあり、どちらがどちらを視ているのか、実のところ、わからない。

●映画フィルムにおいて各コマの“photograph”(光描画)で発生する「ブレ」による像の歪みや流れ、質感には特有の美しさが存在する。デジタル映像も拡大すると圧縮に起因する特有の「荒れ」が現れる。異なる画材を混ぜるように、双方のプロセスによる「ブレ」や「荒れ」を混ぜ、映画の時間軸に塗り込むことを企図した。
撮影対象はこちらを見つめる猫。伸長された時間の中で、像と空間が歪み、ぶれ、崩れてゆく。変容の中、“わたし(カメラ/観客)”と“あなた(猫/スクリーン)”を繋ぐ「視線」という不可視の事象が純化されてゆく。

●デジタルビデオで撮影した素材を編集ソフトで拡大・時間伸長操作を加え、8ミリフィルムを用いてブレを加えたコマ単位の再撮影を行う。自家現像処理を行い8ミリ版の完成(wired-glass No.1)

これを更にデジタルビデオで再撮影し、同様の手法で16ミリフィルムを用いコマ単位の再撮影を行った。16ミリ工程ではカラーネガフィルム2種を用いてリバーサル自家現像(クロス現像)を行い、通常と異なる発色に露光カブリ・フィルム流れなどのイレギュラーな要素を加え、よりメディアの質感を強調した表現となった。(wired-glass No.2)

 

日本映像学会第42回大会
<2016年5月29日/神奈川・日本映画大学>
イフラヴァ国際ドキュメンタリー映画祭2016/Laboratorium プログラム
<2016年10月25日-30日/チェコ・イフラヴァ>


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