filmography index 

AQUARIUM
(16mmfilm/6min/1991)

●存在と非存在との間にある断面たる「映写」。
魅惑的で、時に心を揺さぶってやまない、
なのに決して触れる事はできない、そんな「映写」についての映画。

●投影された映像を空中でスクリーンによって受け止め、定着してゆくことにより、空中にイルカを泳がせようと試みた。
8ミリフィルムで撮影されたイルカの映像を一コマづつ映写し、出演者が白い板でそれをトレースするように動かし、16ミリカメラの長時間露光で撮影する。
作品「dis-contact」の方法論をもとに、文字の投影、スクリーンを介しての視線の交錯、撮影者の身体性などの要素を加え、より複雑に構成した。

映画理論の先駆者、リッチオット・カニュドは映像の本質は光である、と述べた。
そしてそれと同時に「映像」(IMAGE)はまさに「心的像」(IMAGE)そのもののことである。
我々が普段見ているものも同様で、それは目によって捉えられた光そのものであると同時に脳において認識された「心的像」(IMAGE)なのである。
外部世界の光によって我々は世界を認識するが、同時に認識された人間内部の「心的像」(IMAGE)そのものが世界である、ということができる。
この二重性が「映写」という現象において表面化する。この作品はそんな「映写」についての考察でもある。

 

VIEW FESTIVAL 1991・日本新作プログラム<1991年、埼玉>
東北芸術工科大学図書館収蔵

作品プレビュー(部分・2分)

(C) Kawaguchi Hajime